- はじめに
- 印象的だった作品たち
- 展示の概要
- Section1 抽象絵画の源泉
- Section2 フォーヴィズムとキュビズム
- Section3 抽象絵画の覚醒ーオルフィスム、未来派、青騎士、バウハウス、デ・ステイル、アプストラクシオン=クレアシオン
- Section4 日本における抽象絵画の萌芽と展開
- Section5 熱い抽象と冷たい抽象
- Section6 トランス・アトランティックーピエール・マティスとその周辺
- Section7 抽象表現主義
- Section8 戦後日本の抽象絵画の展開(1960年まで)
- Section9 具体美術協会
- Section10 瀧口修造と実験工房
- Section11 巨匠のその後ーアンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキー
- Section12 現代の作家たちーリタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌ、婁 正綱、津上みゆき、柴田敏雄、髙畠依子、横溝美由紀
- お土産
- 全体的な感想
- 開催概要
はじめに
抽象絵画の起こりとその歴史をたどる展覧会でした。
印象に残った作品と展示会のざっくりした概要をまとめます。
印象的だった作品たち
クロード・モネ 《黄昏、ヴェネツィア》
1908年頃 油彩・カンヴァス 73.0×92.5cm 石橋財団アーティゾン美術館所蔵
夕暮れ時の空の色んな色が混ざっている感じがすごく綺麗。
ゆらめくような筆の置き方をしている空の描き方と、
横方向に均質に線を引いてある水面の描き方とで対比になっていてよいし、
境界線がなくとも空と水面の境目がどこか一目でわかるのがすごい。
ジーノ・セヴェリーニ《金管奏者(路上演奏者)》
1916年頃 油彩・カンヴァス 71.4×38.1cm 石橋財団アーティゾン美術館所蔵
アマチュア楽器吹きなので音楽モチーフの作品はつい気になっちゃう。
持っている楽器は何だろう。ベルが上を向いているからユーフォニアム?
「VINS」「LIQUERS」はワインと酒、かな?酒場のドアとかだろうか。
「Rue」「Sophie」が分からん。演奏している人の名前かな…。
といった感じで、想像をかきたてられて楽しい絵でした。
ヴァシリー・カンディンスキー《3本の菩提樹》
1908年 油彩・板 33.0×41.0cm 石橋財団アーティゾン美術館
かなりこってりした色合いで、ぱっと見たときにカンディンスキーっぽくないと思いました。
全体的に濃い色で埋められていて、後世の作品と比べるとメリハリがないように感じるからそう思ったのかな。
油絵具がツヤツヤしてた。
ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》
1924年 油彩・カンヴァス 69.5×59.5cm
幾何学模様がバラバラに配置されているように見えるけど、画面全体を眺めると乱雑な印象はなく、均整がとれているように見えるのすごいと思う。
キャプションに「この時期のカンディンスキーに特徴的な対角線を意識した構成がなされている」って書いてあるけど、構図とかすごい考えてるんだろうなぁ。
左上の「R」っぽくなってるところに何となく視線が誘導される。
多分こういう視線が行くであろうポイントを設けることで、躍動感とかリズム感、メリハリ、みたいなものを生んでいるんだろうと思う。
鍵岡リグレ アンヌ《Reflection h-30》
2023年 油彩・ミクストメディア・パネル 作家蔵
鎌倉にアトリエを構えて活動中のアーティストの作品。
油彩に川砂を混ぜたものを何層かに重ね塗りして、上の層を掻き落として下の層の色を出して表現する、という独自技法で絵画を制作している。
海とか熱帯魚みたいなものを感じるのと、濃い色使いだからかすごく力強い印象を受けて見入りました。
作り方知ったうえで見ると、標高が分かるようになっている登山用の地図みたい。
同じ作者さんの作品で、《Reflection p-10》っていう作品も展示されていましたが、こちらはあまりに大きすぎて写真に入りきらなかったので、ぜひ現地で見てみてください。大迫力でした。
展示の概要
12の章に分けて、印象派~現代に亘って紹介されていました。
Section1 抽象絵画の源泉
印象派画家の展示。
印象派=光を描こうとする画家たち。モネなど。
光を描こうとしたことで、輪郭線を否定する絵画が生まれた。
結果として、色が物に付属するのではなく、独立して存在するという考え方を生み出した。
この考え方の影響を受けた後世の画家(カンディンスキーなど)が、抽象絵画を展開していくことになる。
なお、当初印象派に所属していたセザンヌは後に異なる道を模索。
Section2 フォーヴィズムとキュビズム
フォーヴィズム:目で見た色彩ではなく、心が感じる色彩を奔放に描く。マティスなど。1898~1906年にかけて活動。
キュビズム:ものの形態を2次元の画面の中で総合的に表現しようとする考え方。ピカソ・ブラックなど。
Section3 抽象絵画の覚醒ーオルフィスム、未来派、青騎士、バウハウス、デ・ステイル、アプストラクシオン=クレアシオン
抽象絵画は1910年頃から始まったといわれているが、明確な開始地点があるわけではなく、各国の個人やグループによって各々で始まり展開していった。
Section4 日本における抽象絵画の萌芽と展開
海外の影響を受けて、日本でも1910~20年代にかけて抽象絵画の活動が起こった。
Section5 熱い抽象と冷たい抽象
戦中~戦後のフランス抽象絵画界の動きを紹介。
Section6 トランス・アトランティックーピエール・マティスとその周辺
アンリ・マティスの息子であるピエール・マティスをはじめ、多くの芸術関係者がヨーロッパの前衛芸術をアメリカに伝えていった、という話。
Section7 抽象表現主義
抽象表現主義:アメリカの1940年代以降に起こった絵画の潮流。「アクション・ペインティング」とも。
ポロックなど。
第二次世界大戦でヨーロッパからアメリカに移った芸術家たちの影響を受け、この時期にアメリカで芸術活動が盛んになった。
抽象表現主義は自由の国アメリカを象徴する絵画として評価された。
Section8 戦後日本の抽象絵画の展開(1960年まで)
戦後の日本でも抽象絵画が展開していくが、戦前と比べて自由や個性を追求する気運が高まった。草間彌生とかはこのセクションで紹介されていました。
Section9 具体美術協会
「他人のやらないことをやれ」という教えを掲げ、オリジナリティを追求した活動。所説あるが1954年頃に活動開始している。絵筆にとらわれない作品を追求した。
具体といいつつ絵画は普通に抽象絵画っぽかった。
Section10 瀧口修造と実験工房
瀧口修造:詩人・美術評論家・造形作家。日本にシュルレアリスムを紹介した。
実験工房:瀧口修造のもとで結成された総合芸術グループ。若手芸術家14人で結成された。
Section11 巨匠のその後ーアンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキー
フランスの「熱い抽象」(Section5で紹介)を担った画家たちの、1960年代以降の作品を紹介するセクション。
Section12 現代の作家たちーリタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌ、婁 正綱、津上みゆき、柴田敏雄、髙畠依子、横溝美由紀
Section11までの系譜を受け継ぎ発展させている、現代の抽象画家たちを紹介する。
お土産
ピンバッチとポストカードを買いました。
全体的な感想
印象派とカンディンスキーが好きなので、そのあたりを歩いているときは楽しかったです。
展示品の数が多く、3フロアにまたがっており歩き回って足が疲れました。
だいたいの作品が写真OKでした。
今回は利用しませんでしたが、スマホアプリをダウンロードすれば音声ガイドが無料で聞けます。
開催概要
展覧会名
ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ
会場
アーティゾン美術館
京橋駅から徒歩5分
6・5・4階展示室
会期
2023年6月3日[土] ― 8月20日[日]
開館時間
10:00 ー 18:00(8月11日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日(7月17日は開館)、7月18日
入館料(税込)
日時指定予約制
一般webチケット:1,800円