今週のお題「一生モノ」
ということで2年ほど前に買ったこちらを紹介します。
楽器です。イングリッシュホルン。コールアングレともいいます。
オーボエ奏者が持ち替えで吹く特殊楽器で、オーボエより大きく音も低いです。
少しくぐもった、哀愁ただよう音色が魅力で、よくノスタルジックな旋律を吹く用として使われます。有名なのはドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の第二楽章。
13:40~です。皆1度は聴いたことがあるんじゃないでしょうか。
郷愁みたいなものを感じてしんみりした気持ちになります。
この旋律に歌詞をつけたものは、「家路」や「遠き日に日は落ちて」というタイトルで親しまれています。
あとはNHKの「小さな旅」という番組で流れているテーマ曲もイングリッシュホルンが印象的です。
動画の冒頭で演奏される曲です。
これも旅愁というか、どこか寂しげなさすらいの旅人感があります。
個人的には、どっちの曲も、晩秋~初冬くらいの、木枯らしが吹いて落ち葉が舞っている景色が浮かんできます。
購入理由は、大学時代に学校所有のイングリッシュホルンを吹く機会をもらってから、また手に取りたいと思っていたこと。今後市民オケに参加するなら持っていて損はないと思ったこと。たまたま楽器店でフェアをやっていて、定価よりも安く新品が手に入りそうだったこと。
などがあり、買うか!と決断。お店に連絡して、何本か試奏してみることになりました。
最初は中古で安く手に入るならそれがいいと思っていたのですが、中古は年に1本出るか出ないかくらいだそうで、おとなしく新品を試奏させていただきました。
買ったのはロレーというメーカーのキャバールというブランドの楽器ですが、お店ではリグータのプルミエリークと、フォサッティ(ブランド名は忘れた)を2本ずつ、計6本試奏させていただきました。なお、自分の耳に自信がないので、客観的な意見が欲しくて母に付いてきてもらいました。
ロレーは華やかでつややかで、ハッキリめだけどどこか品もあって、これぞソロ担当楽器って感じの音でした。
リグータは、ベルの部分に金属がなく、まろやかで耳になじむやわらかい音で、これはこれで好きでした。
フォサッティはベルに丸い穴が開いていて驚きました。音がこもるのを防ぐためだそうで。一番音が出しやすくて、価格帯も他2つと比べてちょっと安価で手軽な感じがしました。
音を鳴らすためにはオーボエよりも大量の息を使うみたいで、試奏中に急にクラクラして立っていられなくなり、中断して休む時間もありました。お店の方にはご心配をおかけして申し訳なかった…。
後頭部に冷たい水が流れていくような感覚がして、ちょっと危なかった。
あとは購入後に気づいたことですが、イングリッシュホルンはオーボエよりも音が出しやすい気がします。オーボエは結構息のスピード?圧力?をかけないと音にならなくて、やさしく柔らかく吹くのが結構難しいんですが、イングリッシュホルンは柔らかく息を入れただけでも音になります。
その代わり息の量を使うので、楽器を隅々まで鳴らすためにはどっしり構えて吹くことが大事だな~と思いました。
あとは大きくて重いので、長時間持っていると突然右腕に限界が来ます。
さて、試奏をして悩んだ末、音の華やかさ重視でロレーに決めました。選んだものはたまたまプロ選定品だったみたいで、店員さんの営業トークにのせられている気もしつつ、自分見る目あるんじゃない?とちょっと得意な気持ちになりました。
価格は3年保証つけて90万円。
これまでの人生で一番高い買い物だったので買った後しばらくソワソワしてたけど、いい買い物が出来たなあと思います。
滅多に出番がない楽器なので、昨年本番でちょっと吹かせてもらって日の目を見たんですが、演奏していてとても楽しかったです。これからもずっと大切に使います。
余談ですが、楽器を買ったときにおまけでついてきた楽譜が素敵な曲だったのでこの場を借りて紹介します。
「空と海の彼方へ」という曲です。
オーボエダモーレという楽器用に書かれた曲ですが、オーボエ用・イングリッシュホルン用の譜面もいただきました。
オーボエダモーレの甘い響きが心地よい、爽やかながら切なさも感じる綺麗な曲です。
楽器を購入したお店はこちら。ダブルリード楽器の専門店は本当に珍しくて貴重な存在で、いつも備品を購入するときやメンテのとき、親切にご対応いただいています。今後もお世話になります。